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2009年06月05日
農業経営の競争力強化の実行

(有)日野洋蘭園 代表 柴嵜喜好

1. 農政の方向を変える必要がある

農業と競争力
農業の改革には他産業、商業の仕組みを大胆に取り入れるべきである。日本が生き残れる道は、競争力がある製品を輸出し外から買える物を買い、物の流れ、お金の流れの良い循環環境を作っていくしか道は無い。

農業だけは他産業とは別だとする考えもあるが、サラリーマンから言えば強引な事で、輸出無くして国を支えることは不可能に近く、世界の中で日本農業の競争力強化はどうすべきか、現実を直視し広い視野で原点から考え、EPA(経済連携協定)、FTA(自由貿易協定)を受け入れる考えに変換する必要がある。

日経2004年2月26日経済産業研究所、山下上席研究員の農業版特別土地保有税の考えが掲載されていたが、固定資産税+αでの貸し借りが出来る等の制度作りをし、コストダウンが可能となる体制へ持っていく必要がある。

一戸の農家が一企業であり、ここで競争力強化が図れない限り、農業の再浮上はあり得ない。競争力、利益、ゆとりが出て魅力を感じなければ、他産業より優秀な人材は農業に来ようとせず活性化はあり得ない。経済社会も生物の世界同様、世界経済バランスの中でしかその存在価値を維持する事は出来ない。

農業だけは他産業とは別だとする考えもあるが、サラリーマンから言えば強引なことで、輸出無くして国を支えることは不可能に近く、世界の中で日本農業の競争力強化はどうすべきか、現実を直視し広い視野で原点から考えEPA(経済連携協定)、FTA(自由貿易協定)を受け入れる考えに変換する必要がある。

1つの具体策として、国は一定期間集中し現在の農業の危機と再生の必要性をキャンペーンし国民の協力を仰ぐ必要がある。

農業の改革には通り一遍の平面的な捉え方でなく、対外国との競争を見据えた未来的で、立体的で質量を伴う行動が絶対に必要である。一部の行政に定年後の人を頼り農業を維持しようとする考えがあるが、産業としての発展を考えると一時的な数合わせだけであり、本当の意味での向上には繋がらない。質的向上である自給率の向上、あるいは対外国との将来に向けての競争力強化においては安易に頼ることは混乱を招くのみである。

期間を決め実績を上げている農業法人等を核に行政、教育指導機関で、農業経営改善委員会を立ち上げ小規模認定農業者に対し経営、技術の実践教育を集中実施し底辺より経営のかさ上げと競争力強化を図る等が考えられる。


2. 農家として経営革新、IT活用が必要

今までの経営を効率よく、スムーズに進める整理された考え方(枠組み)が無かった。
システムとして3つを取り入れたソフト開発を進め利用することで、経営を強力にバックアップさせる事が出来る。

農家(企業)として内なる経営革新(イノベーション)なくして競争力は付かない。
ましてや外国の農業と対等に競争していかざるを得ない現在、コストを意識した企業的経営に導くことが絶対的要素である。

農家はもともと一企業であるが、農業を企業として捉え積極的な活動が出来ている方は少ない。
我々が行っている農業経営も、経営としての仕組みは効率的に企業活動を行っている大企業とさして変わらない。

しかし、多くの農業経営者はこの事に気づいて無い。実際規模は小さく仕事は細分化されていないが、経営(企業)としての仕組み、あるいは利益を出していかねば経営を維持存続させることはできないとするところは共通する。

当然であるが経営努力をし、利益を出していかねば、次の社員(継ぐ者)を生み出すこともできなくなる。しかしながら、他の業種と対比し経営を難しくしているのは、気象の変化、動植物の生理コントロールという自由の効かない要素の比重が大きいことが挙げられる。そして、この多くの業務内容とコントロールの効かない要素全般を小規模農家だと一人の経営者が操らねばならないところに通常の人では限界がある。

この解決にはITを取り入れ判断精度の向上と技術伝承の短縮、効率化を図る必要がある。

経営において3つの大きな要素が必要である。A, B, C を連携循環させることで、経営を企業的考えに自然に移行でき、考える経営となり先が見える経営となる。

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A 生産技術の蓄積と改善

栽培技術の蓄積、継承向上が有って初めて生産の安定と生産性向上が可能となる。

システムとしての構築が必要 ~ 
今までのデータを確認しつつ次への組み立てが可能となる ~ 
作業日誌+栽培管理の整理 ~

☆植物状況、環境、作業データ + PF値の管理
季節変化、天候、最低最高温度、湿度、地温、PF状況

☆病害虫対策と履歴の整理
薬剤名、薬剤成分データ、効能、利用ピッチの表示

☆施肥管理
圃場ごとの土壌分析データ履歴、肥料成分データ、自動施肥設計
● 肥料成分値 対 植物の生育状況
● 灌水量、降水量(養分吸収)と生育コントロールによる健康状況と生産性の相関関係
● 視覚にて成分測定値を標準値に導きやすいグラフ化

B 生産計画の立案
計画作りは経営の羅針盤であり進むべき道しるべを得る事になる

1, シミュレーションが必要
単位面積当たりの収量、単価を変えたシミュレーションを行うことで最悪の状況と、現実何処まで行くかの可能性が見える。また、事業計画まで進むと損益分岐点も確認できる。

2, 古いデータの整理
今までのデータ、実績を紙に絵や図、数字として落とし込むことで全体が整理される。圃場台帳、全体計画の基となる生産状況の整理

「1, 2, は経営の骨格である」
まず実績と外部情報を基にした1, のシミュレーションを行い方向性を決定し、作付栽培計画の作成と併せて、この計画に生産数量、単価等を入れ込み、現実に即した低い数字で事業計画を作成する必要がある。

この計画がきちんと出来ていると、途中、数量単価等に変化があったとしても、シミュレーションの想定内であれば何処にどんな問題があり、何処を修正していったら良いのか、的確に判断でき行き当たりばったりの不安定な経営から信頼が持てる経営に移行できる。

この実行を事業計画まで持って行けるかが、経営向上の最大のポイント

C 事業計画の立案 
生産計画を基にした、月次での生産計画の立案と3~5年の中長期の事業計画を同時並行して行うことが必要

  1 ~ 12 資金繰り 申告所得
売上 100 100 100
経費 60 60 60
減価償却 10   10
借入利息 5 5 5
元金返済 20 20  
設備投資 (25) (25) (25)
借入の発生      
年、月次資金状況 5 15 25

エクセルにて一ヶ月一枚の入出金シート(多桁)に記入し整理すると簡単に整理する事ができる
● 売上は、今までの月々の売上計画より月別に落とし込む
● 経費は前年の月々支払いから拾い、落とし込む
 
事業計画は、一回目を作る時は大変だが、それ以後はこの計画を基に作るので簡単に作ることができる。 


3, 農業組織の大きな改革が必要

農業の構造改革
通常企業(農家)は他にも勝る前進と継続が必要であり、時代にあった革新的経営と時代を切り開く技術の蓄積がなければ自由経済社会において競争力を失ってしまう。農業も同様の位置にいるが現実大変未成熟である。

強く現状打開を考えず、他人事のような感覚で組織である農協を頼り向上への責任を他へ転嫁している。この様な安易な考えを捨て競争の中で生き、やり甲斐と農家にとってメリットがある仕組みまで持っていく必要がある。

現状それを取りまとめる農協は巨大組織となり、効率的な仕組みを作り上げることが出来ず、時代からかけ離れた組織となってしまっている。農業再生の要は、農協組織の解体的改革が必要である。農協が様々な事業を手がけているが、これを極力組織からはずし、農業生産を効率よく進めざるを得ない仕組みに変える事が必要である。

農家1人1人が、今の自分だけを考えるのでなく、自分の子供の将来、国の未来を見据えた判断をしていかねばならない時にきている。 変革に残された時間は5年、長くて10年しか残っていない。日本農業にイノベーション(革新)が必要であり、日本農業の発展のため日本農業法人協会の会員である我々は、具体的事項をまとめ国に協力に働きかけ業界の発展に寄与すべきと考える。 
 

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